ルーマニア、8月のクルジュ=ナポカ

昨年の夏、私たちはルーマニアの第2の都市であり、トランシルバニア地方の「首都」であるクルジュ=ナポカに飛んだ。ブカレストには、怪奇な言い伝えがたくさんあるけれど(自分の目で確かめてみたくなるくらい)、クルジュとなると話は全く別。ここでの生活はとても穏やかで、実際にこの街で数時間過ごしてみると、自分もそのペースに飲み込まれてしまう。

 

この街は、ボヘミアンで、自由奔放で、若々しい。西ヨーロッパではジェントリフィケーション(*)が進行しているけれど、静かに衰退していくこの街は、ゆったりとリラックスした雰囲気に満ちています。美術館は埃を被っていますが、忘れ去られた宝物で溢れ、アートギャラリーはアバンギャルドな感覚を残し、建築は田舎風/アールデコ/モダニズムの様式を見事に融合しています。そして、城跡にのぼったり、古い邸宅を眺めたり、ルーマニア正教会を訪れたり、公園がオープンカフェに変わっていく様子を見たり、フェスティバルを始まりから終わりまで眺めたり、なんとなくアイスクリームを食べてみたり、ヴィーガン寿司を食べたり(実のところ、ジェントリフィケーションがすでに波及していたのかもしれません)…。刺激的で穏やかなこの雰囲気、ルーマニア語で「ドルチェヴィータ(甘い生活)」を何と表現するのだろうと考えてしまうのです。

*ジェントリフィケーション…地域に住む人々の階層が上がると同時に地域全体の質が向上することを意味する。「都市の富裕化現象」や「都市の高級化」ともいう。