エジプト、6月のナイル川

数年前、ナイル川をクルーズしたのは、それまでに経験したことのない暑さの中。47度の太陽の下をなんとか乗り切ったものの、オーブンの中にいるような暑さを初めて体験したのでした。最近のパリの猛暑は、街の匂いを一変させ、通りの石畳にはインドの大都市と同じ匂いが漂っています。あの時の暑さとは比べ物にならないけれど、まるで炉の中のように暑かったエジプトの数日間が思い出されます。

神話に溢れるナイル川に話を戻しましょう。ここで遺跡について語ることもできるし、訪れた場所のひとつひとつを紹介することもできるでしょう。でも、壮大でがらんとした神殿を訪ね歩く間に、私の心に浮かび上がったのは、それらを取り巻く環境への疑問でした。観光客のブラックリストに載ってしまいそうなこの国のこと、巨大で中身のない観光産業のこと、そして何よりも、この肥沃な川のほとりに、天上の世界のような本来の美しさを残すものは何なのか、興味をそそられたのです。

かつての人気の観光地を訪れること自体が、ある種の考古学のようでした。土産物屋、クルーズ船、遊歩道、すべては容赦ない太陽の下でゆっくりと朽ちていき、想像もしなかったような古色を帯びて、ついには廃墟と化していく。放置された看板、ボロボロになった自動販売機、そしてそれらの背景の岩山。これらが作り出す風景は、不思議なことに、昔のアメリカ西部の風景と重なって見えました。空虚さと酷暑が、この地本来の瞑想的な状態を取り戻させているのかもしれません。