香港

今回は、香港の旅での「お気に入り」を紹介します。何年も経った今でも、ふと蘇った旅の記憶をつなぎ合わせるこの作業を楽しんでいます。香港の旅はとても豊かで感動に溢れ、当時の写真や思い出を掘り起こしていくたびに、その思いはますます強まるのです。

1 都市で、ジャングルで

野生の自然に囲まれた大都市なんて、まるでファンタジーの世界のよう。でも、それが香港なのです。飛行機が着陸する間際に、北部と香港島の半分を覆うエメラルドグリーンのカーペット、そこから突き出るパステルカラーの高層ビルが見えた時、それを実感します。ハイキングも海水浴も楽しめるなんて、とてもエキサイティング。

2 愛鳥家

定年後の香港人と私に共通するのは、カラフルな鳥が好きなこと。家の狭い香港では、ペットとして鳥が選ばれるようです。鳥かごは、商店やマンションの外に吊るされることが多いのですが、愛鳥家の聖地といえば間違いなく、園圃街雀鳥花園と市場でしょう。そこではぎっしりと積み重ねられた鳥かご(あまり美しい光景とは言えませんが)で鳥を売っていたり、飼い主が自慢の愛鳥を連れて練り歩いたり、おしゃべりしたりしている姿が見られます。小さなカナリアに夢中になっている大人の男たちほど、私を元気づけてくれるものはありません。また、香港公園の美しい鳥小屋では、野生種の鳥が見られます。

3 眺望

香港というと近未来的なイメージを描きますが、私はむしろ街の建築が好きです。くたびれた建物を彩るライラックピンクや、うねうねと連なる丘がドラマチックで驚くような景観を作り出しています。建物が積み木のように重なりあう香港で、その全体像を知るためには、少し高い場所から眺める必要があります。

4 お寺の日用品

猛烈な発展の勢いで伝統が消し去られようとしているこの街では、お寺は安心感を与えてくれる隠れ家のようで興味を惹かれました。ヨーロッパの厳粛で神聖な空間とは違い、人の生活が感じられる雰囲気が好きです。お寺の外にも、中にも、人の生活はあるのです。お寺に置かれていた日用品の数々は、ありふれたものであっても、貴重なものであっても、好奇心旺盛な私の目を楽しませてくれました。

5 夜は人々の時間

香港の夜は、昼と同じように賑やかで、ここがアジアの大都市であることを実感させられます。穏やかな秋の空気の中で、レトロなネオンや夜市、人気のない骨董屋のショーウィンドウ、屋台の間をぶらつくのは、とても楽しい。

6 年は取るほど良い

中国文化において、長寿は全ての人の願い。香港の退職世代を見ていると、老後に対する見方が変わります。大胆でおしゃれな服を着て、バンヤンの木の下を仲間とそぞろ歩き、太極拳をして、歌って、バイオリンを弾いて。彼らは間違いなく、私たち若者にはない何かを知っている気がするのです。

7 湯気の芸術

香港の食べ物は、正直どれも少し威圧的だったり、怖く感じたりすることがあります。香料や食材が発する凄まじい匂い、街のあちこちで見かけるおどろおどろしい干物の数々は、西洋人の感覚には少々強烈すぎて、どうしても不気味に感じてしまう。それでも香港料理の技術の高さには、いつも感動させられるのです。特に心奪われたのは、餃子や饅頭を蒸しているポエティックな光景。高く積み上げられたせいろがテーブルに運ばれ、白布の上に丁寧に並べられた餃子を見つけた瞬間、目の前に湯気が立ちこめる。ミシュランの星付きレストラン鼎泰豐(ディンタイフォン)で、スープ入り餃子の「小龍包」を食べたことは、とても思い出深い経験です。

8 市場文化

開発が進み、ある意味「空虚化」した近代都市で、商店が衰退していくのを見てきました。でも、香港はそうではありません。無数の露店が集まる市場が数時間のうちに現れては消え、街の風景を一変させます。毎日の生活に必要なものが何でも揃う市場は、地元の人々の暮らしに欠かせない存在です。香港の文化は食と強く結びついており、商売は天性の才能のようです。

9 紙の夢

香港は紙の王国。提灯や凧、龍、さらにはお供え用の偽札まであります。ここでは儚いものにも特別な役割があり、たとえそれが一瞬であったとしても、本物の美しさを生み出す力が尊ばれているのです。

10 島の生活

香港の良いところは、アジア以外であまり知られていないことです。大嶼島(ランタオ)、坪洲島(ペンチャウ)、南丫島(ラマ)など、大都市のすぐ横に浮かぶ島々へは、すべてフェリーで渡ることができます。これらの島にはそれぞれ特徴がありますが、私の訪れた島々に共通していたのは、時がゆっくりと流れる田舎の空気。ビジネスに追われる慌ただしい香港のイメージとは対照的で、とても信じがたい気がしました。